【2019F1スペインGP】新エンジン投入も初日ベッテルは低速コーナーに苦戦「もっと速くなる必要がある」

2019年F1スペインGP初日、ベッテルはまだマシンが完全にしっくりきておらず、特に低速コーナーで苦戦していました。

【2019年F1スペインGPフリー走行 フェラーリの結果】
1回目
ベッテル1:18.066(2位)20周
ルクレール1:18.172(3位)20周

2回目
ベッテル1:17.673(4位)41周
ルクレール1:17.585(3位)42周

F1スペインGP金曜フリー走行 ベッテルの経過


FIAのサイトで、全車の全周回タイミングデータをPDFで公開しています。
Spanish Grand Prix Event & Timing Information
(FIA公式サイト)

【フリー走行1回目】
ソフトタイヤを2セット使用。1周インスタレーションラップを行ったあと、7周走行+スタート練習。ここでのベストは計測5周目の1:18.407で、トップに。

次に新品のソフトで7周走行。計測3周目に自己ベストの1:18.066を出し、ボッタスと0.1秒差の2位に。セクター1と2は全体ベストでしたが、セクター3でボッタスに0.3秒後れていました。

最後に、スタート練習をしてロングランを始めたところで赤旗に。計測ラップは22.4でした。


【フリー走行2回目】
ソフトとミディアムを使用。まずミディアムで7周走行。ここでの自己ベストは計測5周目の1:18.546で、同じくミディアムのボッタスと0.7秒差の2位。セクター2で0.3秒、セクター3で0.4秒後れていました。

次にソフトに履き替えて6周走行+スタート練習。計測1周目に自己ベストの1:17.673を出し、メルセデスとルクレールに次ぐ4位に。トップのボッタスと0.4秒差、ルクレールと0.1秒差。2周クールダウンを挟んで再度アタックしましたが、セクター1と2で合わせて0.1秒更新したものの、セクター3は0.2秒後れ、全体では更新せず。

その後、スタート練習をしてからロングラン開始。ソフトは短めの9周で、22.8からスタートし、4周目からは5周連続で23.2でした。次にミディアムで17周。22.3~22.9のペースで、最後の8周目が最も速い22.3でした。

ルクレールのロングランはソフトが長めの16周、次にハードで11周。ソフトは22.8でスタートし、11周目から23秒台でしたが、15周目に22.7が出ていました。ハードは22.6からスタートし、7周目に22.4、9周目には22.0と、徐々にペースが上がっていました。

メルセデスは、ボッタスがソフト→ミディアム、ハミルトンがソフト→ハードのロングランを担当。ソフトはハミルトンが速く、22秒台前半の周も。ボッタスのミディアムは21.6~22.2で、ベッテルより0.7秒ほど速いペースでした。

初日フリー走行を分析


フェラーリはショートラン、ロングランともメルセデスに後れを取っています。今回はその差がロングランで広がる傾向でした。

特に差が大きかったのが低速コーナー中心のセクター3です。それはショートランでもロングランでも同じでした。

ベッテルとボッタスのセクタータイムを比較します。

各自のベストセクタータイムを比べると、ストレートと高速コーナーのあるセクター1で稼いだ分をセクター2で追いつかれ、セクター3で突き放されていました。
ベッテルボッタス
S121.6321.81-0.18
S228.9028.72+0.18
S327.0726.63+0.44
Lap77.1677.60+0.44

これはソフトのショートランです。

ミディアムのロングランでも、セクタータイムの平均を出してみました。
ベッテルボッタス
S123.3123.18+0.13
S230.7830.73+0.05
S328.6128.31+0.29
Lap82.6982.21+0.48

ロングランではセクター2と3の後れが少し減っているものの、ストレートでのアドバンテージが小さい分、全体では差が広がっていました。


下の図は、ベッテルとボッタスのテレメトリーから、速度をグラフにしたもので、Skyイタリアで放送されました。グラフの下にコーナーの数字が書いてあります。赤丸はベッテル、青丸はボッタスが上回っている箇所です。
FP1 Bottas-Vettel Best lap telemetry comparison from r/formula1

ベッテルはストレートと、高速の3コーナーと9コーナーで上回っています。しかし、セクター3の中でも特に13コーナーと14、15の最終シケインで大きくロスしているのが分かります。また、1コーナーもボッタスより早めにブレーキングしています。

また、低速コーナーで遅いのはコーナリング中の速度が低いからであって、その後すぐに同じ速度に上がっていることから、トラクションには問題がなさそうなことも分かります。

ベッテルも次のように話しています。
Trainingsanalyse GP Spanien 2019 Mercedes zertrümmert die Konkurrenz
2019.5.10(Auto Motor und Sport)

セクター3で突き放される。ほかのコースでもメカニカルグリップで後れを取る経験をしてきた。そこを変える必要があるのは間違いない。


Auto Motor und Sportによると、今回の問題はリアタイヤのオーバーヒート。メルセデスがオーバーヒートを抑えているのに対して、フェラーリはセクター3までにタイヤが熱くなりすぎるために、低速コーナーでの差がさらに広がっていると分析しています。

かといって、ロングランでタイムがどんどん落ちている訳ではありません。ただ、安定して遅いペースでした。オーバーヒートしないように抑えた走りを余儀なくされているのかもしれません。

Auto Motor und Sportが出した平均タイムです。
【ロングラン平均タイム】
*=第2スティント
ソフト
ハミルトン1:22:391(8周)
ボッタス1:22:592(10周)
ルクレール1:23:051(16周)
ベッテル1:23:072(9周)
フェルスタッペン1:23:129(8周)
ミディアム
ボッタス1:21:995(10周)
ベッテル1:22:707(17周)
フェルスタッペン1:22:852(7周)
ハード
ハミルトン1:22:269(11周)
ルクレール1:22:509(11周)

ミディアムのベッテルとフェルスタッペンの平均タイムは、省略しましたがリカルド、クビアト、マグヌッセンとほぼ同じです。

中団チームとの差が小さいのはショートランでも同じでした。トップのメルセデスとのタイム差です。

ハースの速さも目立ちますが、マクラーレン以降も普段よりトップとの差が小さめです。テストなどでデータの多いサーキットだから全体に差が小さいのかもしれません。そんな中、メルセデスが速かったのは間違いありませんが、フェラーリとレッドブルが普段以上に苦しんでいるとも言えそうです。

ストレートでの速さを見ても、メルセデスのほうがダウンフォース/ドラッグは多めのようです。フェラーリは今回、ハイダウンフォース仕様のリアウィングを付けていますが、それでもまだ特に低速でのダウンフォースが不足しているのかもしれません。となると、セットアップだけで大きな改善をするのは難しいことになります。

そんな想像を覆す挽回を見せてほしい! 予選では新スペックのエンジンパワーにも期待しています!

F1スペインGP フェラーリのアップデート


フェラーリは今回、PUのうちICE(エンジン)のみ新スペックを投入しました。合わせて、シェルも新しいオイルを投入。ねらいは、信頼性の向上というより、パワーアップか、ハイパワーを長く使えるようにするためではないかと見られています。

マッティア・ビノットは、開幕戦を終えてライバルに対する後れを認識し、スケジュールを早めたと話しています。
FIA Friday press conference - Spain
2019.5.10(F1公式サイト)

当然ながら、こうしたスケジュールの変更は、数週間前に計画を立てる必要がある。その週に決めるようなことではない。

メルボルンでシーズンが開幕した際に、ライバルに対してパフォーマンスで後れを取っているのではないかと気づいた。そこで既に開発を予定していた主要アイテムすべてについて、さらに追い込むよう努力した。プログラムの一部を早められる可能性を探った。

既に空力パッケージはバクーで実現し、当初のプログラムより早く導入できた。ここではパワーユニットに関しても達成した。

それを可能とするには、近道をしたり活動量を増やしたりする。マラネロのスタッフが大変な努力を重ねていることに触れないわけにはいかない。活動量を増やし、今も懸命に努力している。それが現時点ではわれわれに必要なことだ。


当初は2基目のPUをカナダGPで投入する予定だったそうです。実質4週間もの前倒しを実現させたスタッフの努力に頭が下がります。

2戦早めたので、この先どこかで2回、1基目のPUを使用する可能性もあります(モナコとハンガリーなど)。また例年通り、今後は金曜フリー走行で古いPUを使用すると思います。


空力パーツにも小さなアップデートがあります。

フロントウィングはエンドプレート外側の形状が少し変わりました(上が新型、下が旧型)。

リアウィングも翼端板が変更に。ハイダウンフォース仕様と見られています。

エンジンカバー上のシャークフィンも少し形が変わりました。

F1スペインGP金曜日 ベッテルのインタビュー


Sebastian Vettel (Ferrari): «Tappe nicht im Dunkeln»
2019.5.10(Speedweek)

まだマシンの感触が望んでいたほどしっくりきていない。切り札が出揃うのは土曜日だけど、もっと速くなる必要がある。

新しいパーツは効果を発揮している。それはデータも示している。ただ、スピード自体は望んでいたほどではなかった。最終セクターでは、マシンからいい感触を得られることと、高いグリップが必要だ。僕たちはまだそこで苦しんでいる。

すごくいいラップもあれば、走りにくいラップもある。基本的にはマシンから期待していたようなフィードバックが得られていない。だけど、土曜日には改善できると信じている。新しいパーツに問題があるわけじゃない。


最終セクターで必要だとベッテルが指摘する「いい感触」と「高いグリップ」、初日はどちらもまだ得られなかったようです。

FP1は順調にタイムが伸びていたので、テストのときのような感触が得られたのかなと期待したのですが、路面温度が上がったFP2では、周回を重ねてもタイムがほとんど伸びませんでした。

動画:スペインGP木曜日のベッテルのインタビュー


Q:アップグレードはどうだった? 新エンジンのパフォーマンスは? 期待通りだった?

うん、エンジン面は満足。まだ金曜日だから、自分たちがしていたことをほかと比べるのは難しいけど、全体的には満足だ。マシンについては予定していたものをすべて付けたけど、感触についてはまた別。今日、僕たちが最速でなかったのは妥当なところだ。

Q:最終セクターについては? そこでタイムを伸ばしたいとを狙っていたのでは?

それが必要だ。あの手のコーナーで負けるのは今年初めてのことじゃない。簡単なことなら、すぐ直せるんだけどね。今も全員で必死に努力しているし、なぜ、あの手のコーナーでロスするのか、ロスが大きいときがあるのか、理解しようとしている。まあ、明日見てみよう。




Skyイタリアのカルロ・バンジーニによると、フェラーリのガレージには夜10時に新しいパーツが届いたとのこと。チームも全力を尽くしています。この努力が報われてほしいですね!


レースとは関係ありませんが、木曜日にパドックでベッテルのこんな姿が目撃されていました。

チャンピオンのセバスチャン・ベッテルが見せた素晴らしい瞬間。サーキットを出ようとしていたときに、車を脇に置いて、上り坂でファンを手助けしていた。


同じシーンを見ていたファンのツイート。

セバスチャンはサーキットを出ようとしていたときに、車イスを押している2人の人が上り坂で苦労していたので、止まって手助けしていた。ささいなことだけれど、こういうことを彼がどれほど頻繁にやっているか分からない。


本当にその通りです。誰にでもできるちょっとしたことなのに、とっさには体が動かないものですよね。きっとベッテルは普段からこういうことを自然にやっているんだと思います。わたしも見習いたいです!


さて、今週末は3日間とも晴れの予報でしたが、土曜日は雨の可能性が出てきたようです。そのため、FP3専用にインターミディエートが1セット余分に供給されたとのこと。メルセデスのほうがダウンフォースが多いとすると、ウェットでも有利です。また、せっかく新エンジンを投入したのだから、その実力をドライの予選で見てみたいのですが…。

なんとか大きく改善して予選でメルセデスに迫れますように!

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管理人:megu

1990年代初め頃からのF1ファン。マンセル、ハーバート、ビルヌーブのファンを経て、今はセバスチャン・ベッテルが大好き。
イギリスのものが好きで英語の勉強を始め、現在、雑誌の翻訳の仕事を少ししています。